昨今、少子化の影響もあり、幼児・児童向けの運動・学習塾等の市場は大変な盛況を魅せています。ところが、ガラヒュー(1999)によると、子どもは年齢応じて段階的に最も発達する運動能力に違いがあることが分かってきました。結果、幼児・児童向けの習い事はそれを受けさせる親御さんの教育ニーズは満たしているものの、実際に子供達の成長にはあまり相関がないことはわかってきました。
東京学芸大学の杉原名誉教授の研究では、約9,000人の子供たちを対象とした運動テストを実施したところ、何かしらの体育指導を受けていた子どもよりも、体育指導を受けていない子供たちの方が運動の総合点が高いという結果になりました。
これは、既存の体育指導が子供に特定の運動方法を繰り返させることから、運動の種類が限られてしまうこと、また、強い競争心を持つ時期ではないことから、結果に優劣がつくとやる気を失ってしまうことなどが要因の一つとして挙げられます。さらにもう一方では、体育指導を受けていない子供たちが「遊び」を通して様々な種類の運動を行っていることから、結果、運動の総合点を高めていたこともわかってきました。